
見るも不思議な植物の種
「これね。東北の山奥の村の民芸品」って言ってもまだ信じられそう

いやムリあるか?
しかして、触って見てみると機能性の塊だった
今日はこんなフシギダネを付けるカラスムギのお話
オートミールのご先祖様
4月の中頃、ナノハナが終わって少しした頃
江戸川のほとりを歩いていると、こんな姿の草がたくさん生えていた

カラスムギというムギの仲間、イネ科の植物だ
日本において「カラス」や「イヌ」の言葉が名前の先につく植物は
総じて「役に立たない」とか「似てるけど使い道が・・・」
みたいな植物に付けられる
つまるところ「食用にならずカラスしか食べないムギ」と名づけられた植物である・・・
ムギ畑の中で育つ、似てるけど違う
育てたくないのに混ざってくる厄介者
日本に伝来した際も、ムギを持ち帰ったつもりが
中にカラスムギが紛れ込んでおり、それが帰化したそうで・・・
海外では、いたずらの神様ロキが麦畑に撒いたという「いたずらの神のムギ」
日本では、ムギに似てるけど違う「偽物のムギ」
どこに行ってもちょっと嫌われてそうな呼ばれ方をしてる

野草ってちょっと不憫な名前が多いんだよね
しかしこのカラスムギ、役に立たないなどと言われたままではない
実は昨今の健康ブームで大人気でニヒルなあいつ
オートミール。燕麦と呼ばれるムギの先祖だったりもする

冒頭のくの字種の中身がこんな感じ
さらに切ってみると中身はもろくて白い米みたいなのが入ってて
何だったら食べられそうな見た目だった
昔は役に立たないとされてても
今では米の価格高騰も相まってどこのスーパーにも置いてる人気商品だ

大出世やね!
イネ科・・・見分けつかん・・・
さて、今回このブログ初めてのイネ科の植物なんだけど
ぶっちゃけていうと調べてみるまで、記事にすることに乗り気じゃなかった
だってイネ科って全部一緒に見えるんだよね・・・
米、トウモロコシ、竹、ススキ、小麦、サトウキビなどなど
人間の生活に密接な植物がある反面
雑草と呼ばれる種類も本当に豊富

あと地味に困ってることが、イネ科は植物図鑑から外されがちであること
お気に入りの野草辞典はいくつかあるけど
カラスムギを載せてる本は一冊もなかったので
「イネ科ハンドブック」なるものを購入したくらいだ
さて、そんな苦手意識をおしてまで
今回イネ科の中でカラスムギを選んだのには理由がある
そう、とにかく種が面白い!のだ
湿ると回る。乾くと戻る。
まずは3秒程度なので、こちらの動画を見てもらいたい
なんとこの種。水に湿らせると回転するように動く
植物を意識して拾い始めて、まだまだ日が浅いとはいえ
こんなはっきりと、単体で動き回る種は初めて見る

飛び出た「くの字」の根本側に、らせん状の模様が見えるだろうか?
ここが濡れると、捩じられた軸が回転を始め
「くの字」の先が地面に引っかかるため
種本体がくるくると回り、ドリルの様に土に潜り込もうとする

また、一度種の頭が土に入れば
先端から逆向きに生える毛が
矢じりの返しのように作用して
簡単には抜けなくなるという構造まで持っている

さらに、回る「くの字」は乾燥すると
またくるくると捩じれ戻るので再利用まで可能ときた

もはや工学デザイナーに設計されたのかと疑うレベルだ
数度の湿乾を繰り返した結果、実際に潜る姿は見られなかったが
ちょっとした穴や、でこぼこに頭を突っ込んで種を固定させるなら
容易に想像できる動きをしてくれた
カラスムギの種子は強い「嫌光性(種に光が強く当たると芽吹かない性質)」があり
実際の野生下ではこの機能を生かして、できるだけ地面深くに潜り、光を避け
芽吹くタイミングを待つのだろう
種。おもしろい

植物観察を始めてから
雑草の種が思ったより個性的で面白いことに気がついた
風に乗せて遠くへ広げる種。触ると内圧で弾ける種。バネ仕掛けで弾き飛ばされる種
これらはタンポポ。カタバミ。アメリカフウロ
すべてどこにでもいる、身近な雑草の種が持ってる機能だ
最近はいつも、種も持ち帰れるように準備して出かけるようにしていて
いつか面白い実験に使えたらいいなと思っている


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